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円形脱毛症

ALOPECIA AREATA

円形脱毛症とは

 
円形脱毛症とは、円形に脱毛が起こる病気です。頭だけでなく眉毛やヒゲなど体毛のあるところであれば起こりえます。1,2ヵ所生じて自然治癒することも多いのですが、症状が進んでしまう方もおられます。
脱毛が起きている部位に、先が太くて根元が細い毛(感嘆符毛)や黒い点々が見られるのが特徴です。
30歳以下で発症することが多く、特に15歳以下の発症が多いのが特徴です。
円形脱毛症は症状の違いにより5つの型に分けられます。
 
①単発型
最も多い型です。頭部に生ずることがほとんどです。数カ月で自然治癒し、気づかないうちに治ってしまっている方も多いと思われます。
②多発型
2ヶ所以上に生ずる型です。印象として、3,4ヶ所以上に生ずると下記の型に移行する事が多いです。
③多発融合型
頭髪全体が平均的に抜けるびまん性と毛の生え際が細長く抜ける蛇行性があります。
④全頭型
多発型・多発融合型から症状が進んだもので、頭の全ての毛が抜け落ちます。
⑤汎発型
眉毛や陰毛やすね毛など、体の全ての毛が抜け落ちます。
 

原因

まだはっきりとはわかっていません。リンパ球という免疫を司る細胞が間違って毛根部分を攻撃する自己免疫という機序が考えられています。
ストレスがかかると免疫機構にも影響をあたえるため、ストレスにより発症が誘発される可能性もありますが、乳幼児にも発症することがあるためストレス以外の原因もあると考えられています。
アトピー性皮膚炎に合併することが多く、この場合は何らかのアレルギー的な原因が考えられています。
甲状腺疾患が原因で生じる場合もありますので必要があれば甲状腺機能の検査も行います。
 

治療

残念がら,現時点で根本的な治療はありません。ですので症状やライフスタイルに合った適切な治療法を見つけ、症状の改善と生活の質の向上を目指します。
対症療法(抑えこむ治療)としては、外用療法、ステロイド局所注射、冷却療法、紫外線療法(光線療法)、内服療法、局所免疫療法などの治療法があります。
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

外用治療

 
確実な治療効果を得るためには、使用量や外用回数を守ることが大切です。
 

ステロイド外用

内服に比べて全身に及ぼす副作用が少ない点からよく用いられます。長期間連用することにより副作用(皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張してくる等)が生じやすいお薬です。当院でこの治療が受けられます

フロジン®外用

フロジン®の成分であるカルプロニウム塩化物は、局所の血管拡張作用を有し脱毛防止、発毛促進効果があるとされています。当院でこの治療が受けられます

ミノキシジル(リアップ®)外用

男性型脱毛症の治療にも使われる市販薬です。円形脱毛症にも効果がみられることがあります。

局所注射

 

ステロイド局所注射

病変部にステロイドを注射します。1~3個ぐらいまでの円形脱毛症が適応となります。注射により注した部分が凹んだりする副作用が起こりえます。
当院でこの治療が受けられます

光線療法(紫外線治療)

 
紫外線には皮膚の免疫細胞の働きを弱める作用があります。その作用を利用して毛の周りに集まっている免疫細胞を弱らせる治療法です。
 

PUVA(プーバ)

PUVAは光化学療法ともよばれる紫外線治療法の一つです。オクソラレンという光感受性薬剤を前もって塗布または内服したのち、紫外線照射装置で長波長紫外線(UVA)を発するランプの照射を受けます。

ナローバンドUVB

中波長紫外線(UVB)のうち治療に有効な波長(311nm)のみを選択的に発するランプを用いて照射を行います。PUVAのように前もって光感受性薬剤の塗布や内服は必要ありませんので簡便です。
当院でこの治療が受けられます

エキシマライト、MEL

紫外線治療の中で最新の治療です。小範囲に強度の強い308nmの中波長紫外線(UVB)を照射します。従来の紫外線治療で効果がなかった場合でも効果が出ることがあります。
当院でこの治療が受けられます

内服療法

 
患部が広い場合や、皮膚症状が強く外用療法で十分な効果が得られなかった場合に行う治療法です。
 

ステロイド内服

ステロイドは全身の免疫力を抑える作用を持つ薬剤です。効果は非常に高いのですが、副作用(高血圧・糖尿病・肥満・胃潰瘍・緑内障・感染症など)が多く、十分にリスクとリターンを考慮して使用しなければなりません。
副作用の発現を抑えるため、2週間のうち連続した3日間だけステロイドを内服する方法(ステロイド内服パルス療法)を行うこともあります。
当院でこの治療が受けられます

ヤヌスキナーゼ阻害薬内服
(オルミエント®(バリシチニブ))

細胞内のヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素を阻害することで毛包部で起こっている炎症を抑え、毛髪の再生を促します。

当院でこの治療が受けられます

適応は、
①15歳以上
②症状が出始めて6ヶ月以上経過している方
③脱毛面積が頭部全体の50%以上の方

の方になります。

局所免疫療法

 
SADBEやDPCPという化学物質を頭皮に塗ることにより、わざとかぶれ(接触皮膚炎)を起こさせる治療です。かぶれが起こることによって、頭皮の免疫系が変調し、その作用により発毛を期待する治療です。
かぶれにより2,3日間、強いかゆみ・赤みが出現します。
ステロイド内服パルス療法と組み合わせて行うこともあります。
当院でこの治療が受けられます